High on Life

NO BIKE NO LIFE

それぞれの文化

冒頭に映し出される石畳に置いたカメラの映像、もうそれだけで腰砕けになりました。Jspoのレース映像を観ているだけでは解らない、本当のパヴェの恐ろしさがそのワンショットで語り尽くされていたように思います。
一泊二日の東京出張、二日目の予定が少々くるったお陰でとてもいいものを観ることができました。1500円のところ、自転車割引っていうサービスがあって、携帯に保存してあるC40の写真を見せたら1200円で入れました。遠い日に戦場だった土地で繰り広げられる過酷なレースは、その国、その土地の人々にしか解らない特別な意味があるのでしょう。侵しがたい固有の文化と言うものをあらためて考える機会になりました。日本やアメリカにいる野球少年は、ベルギーの自転車少年なのです。一番グッと来たのは、サインを求めるファンに応じながら歩いていくボーネンの姿が、ワンショットで延々と映し出されるシーンです。きっと野球少年だった自分の幼い頃を思い出したのもあるでしょうが、作者がこの映画に籠めた思いを象徴するようなシーンで、70分間の映像の中でも最も美しいシーンでした。
CSCのチームワークに支えられたオグレディーが勝った2007年のレースが収録の舞台ですが、大半は、選手、ジャーナリスト、アーティスト、ファンらが、それぞれの立場からこのレースに籠める思いを語るシーンに費やされ、レース映像は最後にほんの少し流れるだけです。そしてシャワーシーンです。それまでの展開全てをうけてこちらの気持ちを泡立たせる劇的な効果を持っています。色んなことを書きたくなるのですが、書き尽くせません。皆さん是非観てください。来週末23日からは大阪でも上映開始です。Jspoのことですから、そのうちDVDが出るのでしょうが、是非大きな画面で、家族や近所に遠慮しなくても良い大きな音響で、その迫力を楽しんでください。出てくる選手の名前やそれまでの戦績や脚質や役割なんかが予備知識としてあれば一層深く入り込めますが、そんなのなくても大丈夫!


ちょっぴりお恥ずかしいお話しも。
実は私、ドモ・ファームフリッツの泥まみれの二人がアップになったかっこいいポスター、映画館で買ったのですが、帰りの新幹線に乗る前と乗った後両方で飲み過ぎをやってしまい、荷物棚の上に忘れてきちゃったのです。大阪でもう一回観て、ポスターももう一回買おうっかな・・・。