分かってはいるけど、自転車乗りって『着地』に対してここまで脆弱であるか!そう思い知った初ハーフでした。
15キロ過ぎから徐々に下半身の感覚がなくなっていったように思います。数分前筋肉に入力された刺激の記憶で、意識と切り離された状態で脚が機械的に動いている、で徐々に記憶と消費のバランスが崩れて走りが小さくぎこちなくなっていく・・・そんな感じでした。
しかし本当によく頑張ったと思います。我ながら根性あるなと、ゴール後下半身を撫でながら自画自賛しておりました。しばらく廃人状態が続きそうです。
京都亀岡ハーフマラソン1時間37分58秒 4分38秒/km 50歳代の部49位/完走439人
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前日実家に泊まった時点で戦闘モード解除(笑)ですので、食べて飲んで、朝起きたら胃が痛くてやる気なし。もともと体調悪かったし、布団の中でDNS決定(馬鹿ヤロウです)。チップ返却がてらジョグで会場まで行って、先のために一応練習はしておこうと、7時過ぎのろのろ起き出して朝食。やる気ないのでウォーターローディングもせずだらだらと色んなもの食べて、コーヒ−2杯飲んで8時。気が小さい人間ですので、食べながら精神に決着をつけるためあーだこーだと一応シミュレイションはしているのです。
その結果・・・、同じ時間帯に同じ市内で、お金払って申し込んだレースに出ないで、別の場所を走っている自分って何?そういうのはシンクロニシティーではないねスティング様、と8時15分に決断。そこからできることは限られています。歯磨いて、毎朝のプチ加圧運動して、軽量化して、脚にホットオイル塗って、着替えて、Mag-onゼリー2個にMag-onパウダー溶かした100mlフラスク1本を腰にぶっ込んで車へ。
家内に運転していただき車の中で薄皮あんぱん完食。交通規制の限界線で降ろしてもらい、荷物預かり場所まで数百メートルのジョグ。小体育館には靴を脱いで入ります。ごった返す会場に唖然、「ど、どーしたらいんですか、荷物ぅっ?」って手当たり次第に聞いて、荷札があることを知り、名前を書いてリュックに付けてお姉さんにお願いしまーす!
おきまりのトイレの列に並んでいると、「ハーフマラソン招集時間でーす」のアナウンス。それでもちゃんと用足し後には手を洗う冷静ぶり。なんせ結果なんて求めてませんから。靴を履いて、しっかり紐結んで、陸上競技場へダッシュ!とはいかず、人垣の中を右往左往しながらゆっくり移動。トラックの中には申告タイム毎の集合場所があって当然満員。そうか、荷物預かり所でゆっくりしてた人や、歩いて移動してた人たちは5キロとか3キロの人達なんだと思い知る。ゲストランナーの小鴨由水さんや地元出身の強いランナーの挨拶もロクに耳に入らず、小刻みに脚を動かして少しでも温めようと努力。折しも最低気温連発のこの頃、防寒のビニール袋みたいなのを着た人がたくさんいる中、見るからにど素人の姿で震えてスタートを待ちました。
おきなわの後、ラン練習は2回のみ。8km1回と21km1回。1回走ると、1週間はローラーしかできないほど足が崩壊するため、満足に走り溜めができません。冒頭にも書いた通り、えせランナー最大の課題は、『着地』の衝撃に耐えられる下半身を作っておくこと。特に足の甲、足首、膝が私の泣き所。たった2回の練習で丈夫な下半身ができるはずもなく、地道に取り組んでいる方に大変失礼な話しですが、1週間何もせず溜めたバネで10キロまで飛ばして、後半は黄金のタレを自虐的に楽しみ、分析し、とにかく歩かずゴールする、というバカな作戦を思い描いてスタート。
無戦略のスプリット一覧
コースは亀岡運動公園競技場を出て、1キロで10mほど下った後、湯の花温泉を通り5キロかけてジワーッと100mほど登る。そこから東本梅町の中間点まで下り気味の平坦で30mほど下りる。折り返して30m登って、また100m下って最後にクッと登って競技場でゴール。給水箇所は5箇所。陸連公認コースなので、道幅に余裕があり無理なカーブもなく走り易いコース。総合優勝者のタイムが1時間8分台。これがいかほどのものか素人の私にはぴんときませんが、高速コースなのではないかと思います。
●手探りの入り
一度も走っていないのに一応自己申告は1時間45分でCブロック。トラックで前が詰まっているのもあり、周りのペースに合わせ走り出す。速いのか遅いのか判らないのは、体が冷え切っているせいだろうと思うが、この辺の人達にあわせて行けば突拍子もなく速いとか遅いとかはないだろうと信じて進む。GARMINが初ラップを知らせる。入りの1キロ4分44秒。ちと速いな、寒いのに。5分ペースに落とそうと思ったが、次が4分39秒であれっ?て感じ。周りの波に乗って特に自分が無理していないのならいいかと、気にせず前の人の背中に集中することにした。
じわじわと登っているはずだが、さほどペースは落ちず、頂上に達する5キロから6キロのスプリットが5分10秒。これが本日唯一の5分台。第1給水所はパス。この先走ってみないと判らないが、寒いので前半は立ち寄らず危険回避で行くつもり。
●波に乗る平坦
登りを終え周囲もペースが安定してきて、数人パックで一定に押していける状況が生まれる。湯の花温泉を過ぎ本梅町に入って小雨。寒い。右斜め前から弱い風が来るので、できるだけパックの左後方に位置するよう心がける。3000人がばら撒かれたコースは壮観。頂上から中間点まで4分30秒前後で安定し、我ながらやるじゃねーかおい!状態でついつい前に出て風除けになって気がついてまた後ろに戻る、という下手くそな自転車乗りに戻っているのが情けない。周りに引っ張られているとはいえ、10キロ脚の自分としては危険なペース配分で、一歩一歩進むたびに少しずつ足が崩壊に近づいていくのを確実に感じてもいる。中間点過ぎの第2折り返しを過ぎた辺りでふくらはぎに痛みがきた。2回の折り返しでパックが崩壊しバラけて走っているので、自分の状態を冷静に観察し出すと急に苦しくなってきた。
●耐える後半の入り口
9キロでゼリ−1個、中間点でフラスクを飲み干し、13.4キロ第4給水で初めて水をもらう。美味い、染み通る。筋肉まで浸透しろーっと願うが徐々に脚が言う事を聞かなくなってきた。現実的にここからできることとして立てた目標が、5分台に落とさないでゴールすること。最大の難所が湯の花温泉への還りの登り。15キロ手前でゼリーをもう1個補給。バイクもランも緩勾配は得意だと勝手に思ってはいるが、なんせ15キロ過ぎから脚はピリピリ痺れて他人の感覚。走り方が身に付いていない分、ひたすら腕を振って推進力を生み出そうとするので、心肺機能がやたらと疲れる。悪循環とは分かっているが、今日の所は”今日の自分”で頑張るしかない。福士加代子よ降臨せよ!そう願って腕振りまくって4分50秒で頂上をクリア。でかしたっ!
●下りで崩壊、そして平坦が上りに
本梅町から東本梅町はずっと小雨で辛かったが、湯の花温泉に入ると止んだ。晴れ間も出てきたし、下ったらもうゴールまで平坦!そう思って下りに入ったが、これがえらく辛い。まさにここから経験者と素人の間に大差がつくところ。5キロの下り、後ろからビュンビュン抜かれるのだがもうどうしようもない。着地するだけであらゆる部分がギシギシ痛む。17キロ最終給水で水をいただき何とか立て直そうと試みる。しかし、走り込んでいる人達のストライドが自分の倍ほどにも見え、何人抜かれても、茶髪のお兄さんやおばさんに抜かれても、無抵抗の抜け殻。箱根の6区、山下りの後の平坦が登りに見えるとよく言うが、まさに最後の3キロほどがそんな地獄絵図。脚は感覚ないし、腕振りもままならなくなって、最後は肩を振って誤魔化そうとする。周りの人は普通に走っている、ように見える。もちろん苦しいだろうが、自分ほど崩れている人はいないように見える。そこが大きな違いだな。
●長い長いラスト1キロ
20キロ地点の電光掲示板が1時間33分を告げている。ええっ???ちょっと目を疑ったが、あと1キロ緩めなければ40分切れるの?のぉ?のぉ?のぉ???そんな速く走ったつもりはねーぞ?と素直に疑問だったが、これが事実なら脚が砕けても行くしかないなと思った。最後は運動公園内で競技場に向かって少し登る。もう前に進まない。目を剥き、前傾姿勢を無理にとって推進力を絞り出している感じ。運動公園に入ったらお終いだー!そう思って頑張ってきたが、競技場が遠い。なかなかゲートが近づかない。ここへきてインターロックの舗装は足元が乱れてきつい。ゲートからトラックへ入る。少しほっとする。21キロ酷使してきた脚にトラックは柔らかくて優しい。人もたくさん見てるし、少しフォームを立て直してみようと頑張るが、400mは長い!長いぞ400mトラックぅっ!ラスト100で切り替えようと思ったが何もできず。せめて50は!と振り絞り、3人ほど抜いてゴール。下りで置いて行かれたおばさんにはあと5m届かなかったぁ!
●明るい廃人
朝起きた時はやる気のない廃人でしたが、ゴール後には脚を引きずりながらニヤニヤ笑う廃人になっていました。10キロ50分で1時間45分?それくらいの指標しか持っていなかったので、37分台って言うのは驚きでした。おきなわ以後体調下降しっぱなしだったし、今朝も胃が痛かったし、タイム的に全く考えてもいなかった領域なので、気持ちを切り替え出場して良かったなと心の底から思いました。ニヤニヤしながらチップを返却、ニヤニヤしながら完走証をもらい、ニヤニヤしながら完走記念タオルをもらいました。すべてのセクションで係りの人に大きな声で、”ありがとーございましたー!”と言い、小体育館では”寒い寒い!”と大声出しながら着替え、ダイコクバーガーでは”美味いですっ!”、焼肉丼にも”美味いですっ!”、無双心のラーメンにも”美味いですっ!”と大きな声でお礼を言って食べました。
毎度道が混んでいるのは分かっていたので、家内を呼び出さず足を引きづりながら実家までの5キロほどを歩いて帰りました。ラン用の冬仕度を持っていないので、ヒューヒュー吹き付ける風に震えながらの帰路でしたが、気分は良かったですね。
●今後どうするのか
2日経ってそこいらじゅうが痛いのですが、特に右の足首が痛くて階段降りるのにひと苦労しています。意外にも弱点をいくつか抱えていた左脚は、レース中も何も起きず、レース後も筋肉痛以外は問題無しです。ネットで探して(当日初めて)即席でやったテーピングも効いたようです。この感じでいくと週末の三田国際マスターズは無理せずDNSとし、一旦疲れを取った後、徐々に距離を増やして2月までにフルを走れる脚を作る計画にした方が良さそうです。今回周りのランナーを観察して、自分の足りないところが分かりました。速く走れるということより、長く強く走れる体ってどうやったらできるのか、そこを勉強しないといけないです。とりあえず縄跳びしないといけないんですが、意外にやるタイミングが見出せません。リーボックの縄、せっかく買ったのに。
昨日の夜リカバリーにローラーやって、いかにバイクが体に優しいか思い知りました。脚パンパンでも、足首めっちゃ痛くても、何ともないんですねバイクって。普通にペダリングしている自分が不思議で仕方ありませんでした。やっぱり全然違うとこ使ってるんですね、きっと。
完走証ランナーの中には稀に自転車ジャージの姿も。どこかのどすこいとかいう紫色のジャージも走ってました。沿道の声援も暖かく、サポートもしっかりしていて、来年もまた出たいと思う大会でした。