High on Life

NO BIKE NO LIFE

サイクル耐久レースin岡山国際サーキット2017・3時間ソロ参戦記

マグロの赤身、ですかねぇ、よかったのは。
レース前夜のお酒、とりわけ夕飯後にさらに逝っちゃう場合、お酒の友がついつい乾き物になっちゃうんですけど、今回変えたんです。
5年前かなぁ?やはり岡山耐久前夜のこと、僕がビールにポン酒にバターピー、T木さんが梅酒にかつおのたたきって組み合わせでした。それをふと思い出したんです、5年前と同じ湯郷のスーパーの魚屋さんの前で・・・。
で、僕もかつおのたたきにしようと思ったけど、ない。時間も遅かったし、売れ残った養殖マグロの刺身があったのでそれを購入。ビールはロッジの自販機にある。5年前はそこらへんのワンカップで結構頭痛くなったので、今回は純度の高いのにしようと思って『武蔵の里』という地酒。5年前は2本だったのを、今回は1本。
20時過ぎロッジ到着。朝さっと試走に行けるようバイクも部屋に持ち込みセッティング完了。湯郷温泉で都合1時間ばかり汗を流してきたので、イッテQのお祭り男を観ながら心置きなく缶ビール2本に武蔵の里にマグロの刺身。小家族で晩ご飯を囲む量がパッケージされているので、最後の方はちょっと飽きたけど美味しかった。腹にもたれないし、たんぱく質も採れるし、やっぱ強い人は考えてるなぁと、かつおのたたきをほうばるT木さんをしみじみ思い出しました。
22時過ぎに就寝。



5時に目覚ましで一旦起きるも二度寝して6時起床。マグロのお陰で腹も苦しくないので、買い込んでおいた朝飯類を順調に、そしてゆっくり平らげる。入念に加圧ストレッチを行い、7時半ころひと汗かくためコースイン。寒いけど4周回ほどで汗ばんできて、予定通りに身体がほぐれたので早々にコースアウト。受付してロッジに戻り、汗をよく拭き、ゼッケン付けて2度目の朝食。
9時半過ぎチェックアウト。車に荷物放り込み、あとは集合まで練習仲間とご挨拶したりトイレ行ったりウロウロし、ちょっと早めだけど10時過ぎにバイクを並べてまたウロウロ。したくなくても何度もトイレに行き少しでも搾り出しておく。




さて、表彰状の恨みは置いといて、頑張ったレースを真面目に振り返ります。


11時最前列からスタート。事前の注意事項を無視してかっ飛んでいくG藤さんにつられ、ローリング無しの5分14秒というハイペースでの入り。最初の小さな登りで心臓がバクバクになり、1周目終了時点で既に疲労感を感じるという珍しい状態。まぁすぐに落ち着くだろうと思いきや、ずっと5分台前半のラップを刻むハイペースでレースは進んでいく。そんな中でも、小刻みにペースアップを繰り返す先頭付近から、少し距離を置いた位置で前半をこなしていく。
結構しんどい。1時間でハンガーノックになるのではないかと心配なくらい空腹感を感じる。朝から結構食べたんだけど。補給食はメイタンのサイクルチャージ2本しか持ってない。不安がよぎる。また、気温がやたら高いのも起因して、喉は渇くし、何と1時間経過した辺りで早くも左太腿がつりかける。やばい、ボトルは大と中の2本。2本とも大にするべきだったと後悔、反省。
前にも横にも後ろにも大勢のどすこいジャージが見え、ハイペースでレースは推移していく。そんな中でもトドさんT木さんは相変わらずプロ級の位置取りでスイスイと走っているのが羨ましい。大集団の密度は高く、岡山特有の狭いコーナーで気が抜けないのは毎年のこと。一昨年は右下りコーナーで落車に巻き込まれリタイアしているし、いくら“ラインキープっー!”って声出しても下手な人は横滑りしながら下っていくので、位置取りに非常に気を使い無駄に疲れる。
5分台前半の走りにも体が慣れてきて、1時間が経過した辺りでついに横目に親方が見えてきた。何かするなと思い動きに備えて待つうち、レース巧者のT波さんもスルスルと上がっていくではないか。まずい!サイクルチャージ1本補給っ!うわっとやっぱ手がぬるぬるだ!早く拭かんと!あっ、行かんと!うわぁ上がったー!絶対離れてはいかんと食らい付き1周耐える。この時のラップが5分ジャスト。んでその次が5分9秒、その次が5分10秒と、もうアキマヘン状態でギリっギリ耐え抜いた。その途中で切れかかった時に声掛けて助けてくれたのがT木さんだった。このあとT木さんはピットインされ、頼りはトドさんにT波さんの二人に。
そこから2時間までは比較的穏やかなペースに落ち、5分30秒から40秒あたりで推移。どうもこの辺のどこかで親方が逃げたらしく、全然気がつかなかったのが不思議。T波さんは気づいて追い掛けたけど、一旦集団に戻ってきたようで、その他のどすこいジャージの皆さんも特に一緒に行った訳でもなく、集団内にほぼ揃っていたから、誰も気付かなかったぁ?のかぁ?
1時間40分頃、最初のボトルを飲み終えようと手にしたがもたもた・・・。ついには落っことし、暑さの中での水分切れを招く事態を自分で作ってしまった。
2時間組がゴールするラップで5分21秒まで上がる。そこからのち、T波さん以外の3時間の選手が急に視野に入らなくなり、結構前に押し出された格好で何度か先頭も引く羽目に。しんどいので5時間組に先頭交代を任せトドさんの後輪にへばり付くことしばしば。ペースは5分40秒から6分台へと落ちているのだが、それでも楽だとは思えない程に早々に疲れてきていて、左脚はいつつってもおかしくない状態が続く。最後のサイクルチャージを飲み、電解質パウダー入りのドリンクをこまめに飲んで痛みを誤魔化し我慢。
そうこうしていると前方になさんが見えてきた。ついにアンカー登場ですな!と、声を掛けなさんを集団に迎える。さすがにサラ脚のなさんが前をぐいぐい引いてくれ、僕が落ちかけると声を掛けてくれ、腰を押して励ましてくれる。トドさんにも何度も励まされ、1時間過ぎに危ないところを救ってくれたT木さんも含めて練習仲間の連帯感と暖かい気持ちに感謝した。
しかし、この辺りで前半のハイペースかつ上げ下げのツケが回ってきて、脚が終わりつつあるのを感じ始めた。ちょっとしたペースアップに対する反応が一呼吸遅れる。周りも疲れているらしく中切れが頻繁に起きるようになってきた。その中切れを自分が埋めに行く機会が何度となく続き、2時間半過ぎでほぼオールアウト。なさん、トドさんに励まされ何とか耐えようとするのだがどうしても前が埋められない。そんな時に助けてくれるのがT波さん。別に僕を助けてくれてる訳ではないのだけど、淡々とペースを刻み前との差を詰めるT波さんの背中が神々しく見える。
“辛い”を通り越して、“痛い”っていうのが表現としては相応しい状態。あと30分!あと25分!と、ほとんど死に体で走っている僕の状態を察してなさんがよく声を掛けてくれる。なさん、T木さん、寺さん、M君、G藤さん、N川さん、塾長らに必死のパッチで付いて行ったノンストップ練での苦しみの記憶が、この苦境における自分を支えているのは間違いない。みんなのことを思うと、どんなに辛くても絶対に離れてはいけないという使命感みたいなものが生まれてくる。
おそらくこれまで経験したことのない痛み、苦しみを抱えながら、練習会を思い出し、ちぎれても追い付き、ちぎれても追い付きを繰り返した。

しかし、いよいよラストラップに入るというところで力尽き千切れた。全てを出し切ったという感覚があり、千切れても清々しい気持ちで最後の1周を走り、何も残っていないことを確認するように下ハンで思いっ切りもがいてゴールラインを切った。
息が止まりそうで、手も脚も震えて、こんなしんどいのは初めてだと思った。出し切ったと思えて満足した。
ラスト周回でちぎれたので順位に期待はできなかったけど、リザルトをみて6位だと知って素直に嬉しかった。体力的には昨年より劣っていたことを実感しつつ、精神力は昨年の3倍くらいになっていた。このレヴェルの大会で、しかもソロでシングルに入るなんて夢のようだし、毎年歳を重ねる事に対する恐怖もある中、まだやれるかもしれないという、微かな期待が持てた結果となった。



自転車が好きだしレースも好きだ。年々辛くなるだろうけど、自分への挑戦だと思ってやり続けたいと思っている。幸いにも周囲に同世代で強い人が沢山いる。練習仲間の気持ちにも応えたいし、僕も強い人になりたい。表彰台にも登りたい。


だからまだまだ諦めず頑張っていく。